2.初めましてじゃない君
花開く桜舞う4月…。
無駄に広そうな学園で俺は気づかれないようにある人物の後ろをついていく。
ターゲットは前を歩く男子の真ん中にいる人物。
1分くらい前からずっと狙っている。
俺は獣だ。
無駄に長い廊下…。
エサを狙うのにはもってこいだ。
(10・9・8…)
気づかれないようにココロの中でカウントし始める。
相手はまだ気づいてない。
(7・6・5……)
カウントしながらタイミングを見計らって俺は静かに走り出した。
(…2・1…)
カウント終了!
それと同時にジャンプして前の人物めがけて突進。
「いって…!!」
とび蹴り成功!!
自分に拍手喝采。
倒れこんだ相手を無視して綺麗に着地。
うん!今日も絶好調だ。
「ってねぇな、てめぇ何しやがる。」
相手は怒っていた。
んまぁそりゃ当然だわな。
でも俺はその怒りをものともせず、俺のとび蹴りを食らっても
すぐ起き上がった相手に満面の笑みを向けた。
「久々だね、ケーゴ。」
俺がとび蹴りをお見舞いしたその人物は『跡部景吾』の…ハズだ。
あっ…、間違ってたらどうしよ。
まっ、いっか…。やっちゃったことはどーにもならないし。
「アアン?」
彼は俺にそんなこと言ってきた。
「…ケーゴ、だよね?」
話し方や容姿はそのままだから違うハズないと思ったんだけど…。
やっぱほんとに間違ってた?
「アーン?いきなりとび蹴りしてくる奴に知り合いなんざ………………
もしかしてお前、か?」
「なんだ覚えてんじゃん。ビックリさせんなよ。」
やっぱり『跡部景吾』だった。
そう血に飢えた獣…俺のターゲット。
「っとに、いきなりとび蹴りしかけてくんな。
…っててめぇ、いつコッチに帰ってきやがった。」
変わってない。
前に会った時と全く変わってない。
あぁ〜やっぱ俺ココにしといて良かったわ〜。
「ん〜と、今日。飛行機降りてから直で。」
もう回りなんてこの際無視。
だってケーゴもだしね。
皆不思議そうな顔してるケド。
「アーン?連絡くらい寄越せ。来たと思ったらすぐ消えちまうし…」
「何々、景ちゃん心配してくれたの?」
「バーカ、自惚れてんじゃねぇーよ。なんで俺様がお前の心配なんか…。」
景ちゃんは素直じゃない。
まぁ引けを取らないくらい俺もだけどさ。
「え〜してくんなかったの?俺なんて毎日ケーゴもとい俺のダーリンのこと
考えてたのに…。
ケーゴ酷い。泣いちゃう。」
こんな時はケーゴを悪役にしてしまおう。
うん、ソレが良い。
俺は泣きマネをした。
「うぜぇ、泣くんじゃねぇよ。んっとに、で今までドコにいた。」
まぁケーゴはこんなとこで引っ掛からないよね〜。
俺の性格読んでるよ〜。
「ん〜イロイロ。海外転々と回ってたんだけどね。
どうも安定しなくてさ〜。結果日本が一番良いってことになったわけ。
昨日の入学式に間に合わなかったのは家の完成が今日だったから。」
とりあえず泣きまねをやめケーゴが聞いてくるだろう一歩先まで言葉にしてみた。
「おぃ!てめぇらだけで話進めてねぇで、ちょっとは説明してミソ!」
「全くだぜ。回り見てみろ。時が止まってんじゃねぇか。」
ケーゴとの話の途中で入ってきた声に
いや、時間はとまらんて。
な〜んて心の中で突っ込みいれたりして…。
とりあえず現状把握に俺は周りを見渡した。
いわれてみればギャラリーはフリーズ状態…。
「ハーイ、俺はケーゴのハニーで〜す。」
というわけで一番早くてすむ説明をいれてみた。
んだけど…辺りはまだフリーズを起こしたまま…。
なんで?
「、ややこしい言い方すんな。」
バシッ!!
その上怒ったケーゴに頭を叩かれた。
ちょっとしたジョークのつもりだったのに…。
「ちぇ。え〜と、説明ねぇ…。俺、浅香。とりあえずここの生徒。
ケーゴとは………どういう関係?」
そういや俺とケーゴってどういう関係にあたんの?
小さい頃から知ってるってもパーティで知り合っただけだし、
俺は今まで海外住まいだったから幼馴染ってわけでもない。
説明しがたい関係にケーゴに話を振ってみる。
「…家での、つながりでいいんじゃねぇか?」
家…、ねぇ?
やっぱそういうことになるのかぁ?
まぁだからパーティに行けるのかもしんないから、そうなのかも。
ってか面倒だからそれでいいや。景吾も何も言わないし。
「んまぁ、そういうこと。んで、お前らは?」
(無理やり?)丸く話が収まったトコロで俺をケーゴの感動の再会を
邪魔した奴等に聞いた。
「俺は向日岳人、跡部の幼馴染だ。ここの生徒だぜ。」
なぜかピョンピョンはねてる、赤髪のおかっぱが先に言ってきた。
「同じく宍戸亮だ。幼少時代からずっと氷帝に通ってる。」
次は微妙な髪の長さ奴だった。
「ふ〜ん、まぁ宜しく。」
でもぶっちゃけ聞き流してたり。
ケーゴに会ってる今は、ケーゴしか目に入らない。
「ケーゴ何組に………って、聞くまでもないか。」
「当たり前だ。は何組なんだよ?」
「俺にも聞くに値しないでしょ。」
そしてまた回り無視してケーゴと話出した。
「フッ、まぁな…。」
一緒にいた時間なんて俺が海外に行くまでだからかなり少ないけど、
ケーゴと俺は互いに知り尽くしていたりする。
「ケーゴ、まだテニスやってんの?」
「アン?当たり前だろ。…お前はやってねぇのかよ?」
「んーなんていうか飽きちゃった、かな…。」
嘘。
やってる。
でもケーゴにはそう言っておく。
だって試合とか申し込まれるのヤだから…。
「っとに、相変わらずの飽き性だな。」
「まぁね。…そういやジロちゃんは?」
ジロちゃんこと、芥川滋郎。
割と有名な芥川家なので、ジロちゃんともケーゴ曰く『家繋がり』で知っている。
多分、俺が知らない人間関係が複雑にからまってるだけだと思うケド。
「ジローがこんな時間に起きてるわけねぇーだろ。」
「アハハッ、変わってないね。」
「お前もな…。」
廊下で…チャイムが鳴っても俺とケーゴは話していた。
まわりは相変わらずフリーズ状態なので無視。
俺こと、『浅香』
今日から氷帝学園の新入生です。
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