転入生1
「生徒会長と話して、具合が悪くなった?」


放課後、うさぎ以外の8人がクラウンに集結している。


「はい、多分、なんですけど……」

はるかの問いに、まことが返事をした。


「その彼に、何か感じるところはあって?」

「いえ、あたしたちには何も……。カッコイイな、くらいで」

「美奈子さん……」

みちるに返した美奈子の言葉に、ほたるは苦笑する。


「それで、プリンセスは?」

少し場の空気が和んだところであったが、せつなが会話の流れを元に戻した。

「大事をとって、早退してもらいました。お迎えには、お母さんがいらして」


「それにしても、ちょっと気になるな」

亜美の説明に、少し安心した表情を見せたはるかだが、すぐに厳しい顔付きに戻ってしまった。

「何か対策を考えなくてはね」

そんなはるかに寄り添い、そっと背中に手を回し、安心させるようにぽんぽんと軽く背を叩きながら、みちるは言った。


 


**********


 


「おはようー♡」


自分の前方に友人たちを見つけ、うさぎは嬉しそうに駆け寄って行き、声をかけた。


「おはよーうさぎちゃん。具合良くなったのね?」

美奈子の言葉に、「心配かけてごめんね、元気!」と返したうさぎを優しく見つめていたまことが、その後方から現れた人物に気付く。

「あれ、レイちゃんと一緒に来たの?」

「たまには見送りでもしてやろーかしら、と思ってね」

ツン、とすまし顔で、髪をかきあげながら、何てことなさそうにレイは言う。

けれど、内心心配で仕方なかったのだろうなぁ、と口には出さないが、美奈子にはレイの気持ちが手に取るように分かった。


「よ、子猫ちゃんたち」

「ごきげんよう」


「は、はるかさん!」

「みちるさん!」


「ど、どうしたんですか? その格好……」

うさぎとレイの後ろから姿を現した2人の十番高校の制服姿を見て、亜美が目を丸くして尋ねた。


「今日から僕たちも十番高校の生徒だよ」

「よろしくね♡」

はるかもみちるも、とても楽しそうな表情である。


「世界中を演奏旅行して、子育てをしまくって、いまさら高校セーカツ!?」

驚きでいっぱいの美奈子は、つい大声を出してしまう。


「まぁ、ちょっとかったるいけどな。朝から起きるセーカツなんて」

「あら。あたしたちまた青春を謳歌できるのよ。ワクワクするわ」


「で、でも何でまた……」

「今言ったじゃない。青春を謳歌したくなったのよ。無限学園がなくなって私たち高校生活を全うしていないし」

「ハア、青春……」

自分の問いへの、みちるの答のシンプルさに、うさぎはあっけに取られる。


「あれ、子猫ちゃんは嬉しくないの? 僕は君と同じ学校に通えるなんて、嬉しくて仕方ないんだけどな」

はるかがうさぎの頭に、ちゅっと軽い音をたててキスを落としながら言った。


「ひゃー! 嬉しい、嬉しいです!」

顔を真っ赤にして、キスされた部分を手で隠すようにし、うさぎは飛び跳ねてレイの背後へ逃げ込んだ。


「そ? 良かった」

クックと笑いを堪えながら言うはるか。


「はるかったら。すぐにからかうんだから。さ、あたし達は手続きがまだ少しあるから早く行きましょ」

みちるはそう言うと、はるかの腕に自身の腕を絡め、足早に校門をくぐって行った。


「なんか……」

「賑やかになりそうね」

唖然とした表情で2人の後ろ姿を見つめるまことと亜美はつぶやく。


そんな中、1人寂しそうな顔をしているレイ。

うさぎがそれに気付き、レイの顔を覗き込むようにすると、レイは口を開いた。

「みんな同じ学校良いなぁ……あたしもおじいちゃんに転校頼んでみようかしら……」

「えぇえぇえっ! レ、レイちゃんまで!?」

「うるさいわね。冗談よ。半分は」

「半分は本気かーい」

美奈子の苦笑混じりのツッコミが、吹いてきた春風に乗って消えていった。


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さて、はるかさんはセーラー服と学ランと、どっちを着ているのでしょうね。原作ではセーラー服を着ていたから、きっとここでもセーラー服を着ていることでしょう。 ただ、なんとなく言及を避けるワタシでした。笑



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