転入生2
「はーい、みんな、席につけー! 今日は転入生を紹介するぞー」


そう言いながら、うさぎ達のクラスに担任が入ってくると、「転入生だって」「えー、聞いてなーい」「昨日も3年に転入生入ったばっかりなのにね!」など、 クラスメイト達のざわめきで教室が満たされる。

「きっとみんな、喜ぶぞ! よし、入れー」


担任教師の声を受けて、ぞろぞろと教室に入ってきたのは、何と3人。


「えぇえぇえーーーっっ!」


いち早く絶叫したのは、美奈子だった。


 


「どーも、戻ってきました!」

敬礼をし、おちゃらけた表情で明るく言ったのは星野光。


「どーもー……」

口を開くのも面倒臭い、とでも言いたげな夜天光。


「またどうぞよろしく」

大人顔負けの落ち着きを見せ、穏やかに挨拶する大気光。


 


「う、うさぎちゃんっ! 知って……なかったか。放心してる……」

きゃあきゃあと女生徒の黄色い声が飛び交う中、美奈子はうさぎに話しかけるが、どうやらその声は聞こえないようである。


「お! また同じとこ空いてんじゃん! 俺、おだんごの後ろ!」

「え、星野くん、そっちぃ!? じゃあ……やーてーんーくーん♡ また隣どうぞぉっ!」

うさぎの後ろを夜天に譲る気はないのか、と言いたそうな美奈子であったが、クラスメイトたちの手前、下手なことは言えない。気を取り直して、自分の横の席をバシバシ叩きながら、夜天を呼ぶ。

夜天は、嫌そうな顔をして、美奈子を無視し、まことの隣の席へと行こうと一歩踏み出したが。


「よろしくお願いします」

「あ、はい……」

素早く大気がまことの隣の席に腰を降ろしてしまった。


「……うるさくしないでよね」

ため息を一つついてから、美奈子の横に座るしかなかったのであった。


 


**********


 


ホームルームが終わると、ワァッと、クラスメイトたちはスリーライツに声をかけに行く。

「星野くーん、おかえりー!」「夜天くん、あたし、1年の時同じクラスだったけど、覚えてる!?」 「大気さん、休止中のスリーライツの活動って、再開しますか!?」などなど。


そんな中、前を向いたまま、固まったように自分の席に座り続けているうさぎに、まことが声をかける。

「うさぎちゃん、一緒にトイレ行こうか」

その言葉に頷き、スリーライツに目を向けることもなく、教室を出て行ってしまううさぎとまこと。


「あ、おだん……」

「……?」

想像していなかったうさぎの様子に、不思議そうにするスリーライツだが、次々と集まる人の群れから抜け出せない状態である。


 


「まこちゃん、ありがとうね……」

「いや、いいよ。夜天くんと、顔合わせ辛いんだろ?」

女子トイレで少し時間を潰してから、出てきた二人。

教室へと歩き出したうさぎの表情は、どこか浮かない。

「う〜ん……でも、もうバレるのも時間の問題だよね、どうしよう……」

「キンモク星出るまでは、まだ意識を取り戻したばっかりってことで、具合悪そうでも気にならなかったけど――」


「どういうこと?」


教室に戻る途中、階段の壁に寄りかかって腕を組み、待ち伏せていた夜天の声である。

驚いたうさぎとまことの足は固まる。

構うことなく、夜天はツカツカとうさぎの前にやって来ると、うさぎの頬を両手で挟み、グイッと顔を上に向ける。


「なんて顔色してるの――」

うさぎの、紙のように白く血の気の引いた顔色に、一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに厳しい顔つきへと変わる夜天。


「……真空のことがあってから、ずっと?」

「え、あ、っと……」

「そうなんだね――木野、悪いけどこの人ちょっと借りるね」

そう言うが早いか、夜天は戸惑ううさぎの腕を引っ張って、階段を上って行ってしまう。

まことは、仕方ないか、と諦めた顔付きで、片手をひらひらと振って、二人を見送る。


 


**********


 


「もう三ヶ月は経ってるよね」


階段を上りきって、屋上前の踊り場まで来ると、夜天は両手を壁についてうさぎを囲み、逃げ場をなくす。

「だからいつも通信中の部屋、暗かったのか。夜だからかと思ってた」

顔色を誤魔化そうとしたな、と続ける、怒った様子の夜天。

「――だって、心配かけたくなかったから」

「……そんなに僕、頼りない? そりゃあ、キンモク星と地球とじゃ、聞いたって何もしてあげられなかっただろうから、そう思われても仕方ないんだけど」

「そんなつもりじゃ、――っ!?」

気づいた時には、うさぎの唇は、夜天の唇によって塞がれていた。

「やて……」

一瞬の隙をついて、うさぎは夜天の名を呼ぼうとしたが、最後までは言わせてもらえなかった。

夜天がうさぎの腰を引き寄せ、再び唇が塞がれる。

完全に体はホールドされていて、自分の意思では抜けられそうにない。


「……んっ……」

少し息苦しくなって、うさぎの声が漏れる。

そのタイミングで夜天が唇の角度を変えた。

より深く求められるのが分かる。

夜天の舌先が、唇をくすぐるようにしながら、少しずつうさぎの口を開かせていく。

歯を固く閉じているつもりなのに、いつの間にか隙間ができてしまい、夜天の舌が侵入してくる。

「……っ!」

激しく絡んでくる夜天の舌に、うさぎは腰がくだけて崩れそうになり、慌てて夜天にしがみつく。

夜天の腕は、そんなうさぎをしっかりと抱きとめる。


「っ……、ん……」

うさぎは、ぎゅっ、と眉根を寄せる。


「ん……、ふ、ふぅ…んっ」

深く舌を絡めとられながら、気が遠くなりそうになって、目尻には涙が滲んでくる。


 「――――っ」

苦しいほどに抱きすくめられ、何も考えられなくなる。


気がつくと二人、踊り場に崩れ込んで夢中で唇を重ねあっていた。


離れ離れになって、地球の仲間たちと楽しく過ごしていても、どこか体の一部が欠けているかのように冷えていた体がぽかぽかと温まってくる。

繋がれた右手から、唇から。後から後から力が湧き上がってくるようだ。

そんなことを感じながら、うさぎはあることに気づいた。


「夜天くん!? 力、くれてない!?」

慌てて夜天の胸を突き、勢い込んで尋ねる。


「うさぎが、何も言わずに、頼ってもくれないなら、僕だって勝手にいろいろやるから」

息切れ、疲れを見せながら、怒った口調で言う夜天。

その間にも、うさぎの中に、夜天の力が注ぎ込まれてくるのを感じる。


「分かっ、分かったから!! もうやめて!!」

「よかった。うさぎ、声に力入ったし、かおいろもよくなった……」

ふ、と安心したような表情を浮かべるが、そのままぐったりとうさぎの肩にもたれかかってくる夜天。

「夜天くん!? 夜天くんっ!!」

うさぎは、夜天の体が崩れないよう、必死に抱きとめた。


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2年生に進級して、新しいクラス編成になったのに、なぜかまた同じ席!  そして都合よくうさぎ・美奈子・まことの席の近くに空席が、しかも空席になるにはおかしい位置!笑  そう、これがアニメクオリティの設定! 笑って許して下さいね。



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