一件落着
― せいや、お願いたすけて ―


うさぎは震える右手で、星野にメッセージを送る。

左手では、ぐったりした夜天を必死に支えている。


すると、すぐに星野から電話がかかってきた。

『おだんご、どうした? 今、仕事先から電話っつって、教室出てきた』

「セーヤ、どうしよう、夜天くんが……っ!」

『落ち着け、今、そっちに行くから!』

プツリと電話が切られる。


うさぎや夜天の星の輝きの気配を辿って駆け付ける星野の足音が聞こえてきた。

「おだんご、夜天!?」

すぐに星野が屋上前の踊り場に顔を出す。


「セーヤ、夜天くんが、夜天くんがっ!」

焦って状況を説明できなくなっているうさぎの腕から、夜天を抱きとると、星野はペちペちと、軽く仲間の頬を叩いてみる。

「夜天、おい、大丈夫か」


「力を使い過ぎましたね」

「大気。……っと、お前らも出てきたのか」

「あったりまえ!」

大気の声に、振り向くと、他に美奈子とまことがいるのも確認された。


「夜天くん、大丈夫かい?」

まことが心配そうに、星野が抱えている夜天を覗き込む。

「気絶しているようですね。取り敢えず今日はこのまま帰りましょう」


「校舎裏に車の用意ができました! 早く外へ!」

言いながら、亜美がパタパタ走って来る音が聞こえ、星野たちはそちらを見やる。


「え……!?」


 


**********


 


「――っ。あたま、イタ……」

うっすら意識を取り戻したかと思うと、襲ってきた頭痛に、夜天は顔を顰めた。


「夜天くん!」

「良かった、夜天。気が付いたか」

「……全く、貴方たちは何回目ですか。交互に倒れて」

矢継ぎ早に、自分の周りに揃っていたうさぎ・星野・大気に声をかけられる。

学校で倒れたあと、どうにかして自宅の自室に運ばれ、寝かせられていたようだと、夜天は理解した。


「あたしのために、無理しないで。こんなことで力を使うなら、もう一緒にいられない」

俯き、怒気を含んだ声で言ううさぎ。

けれど、その台詞を聞くや否や、声を荒げて夜天が言い返す。

「やなこった! 離れるなんて認めてやんない。逃げられたって、追いかけて行ってやる!」


束の間の沈黙。

「……どうしたんだよ、お団子。夜天めっちゃキレてんじゃん」

呆気に取られた様子で、星野が口を開いた。


「……」

うさぎも驚いた表情で顔を上げ、ぽかんと口を開けたまま、フリーズしている。


「うさぎが悪いんだよ。何度言ったって他人を頼らず一人で何とかしようとするんだから」

興奮に任せて口を荒らげてしまったことを恥じるような素振りを見せながらも、まだ少し怒りの残った口調の夜天。

「そういうわけじゃ……」

「じゃあ聞くけど。どうする? 僕が何か悩んだりしてる時」

「……そりゃあ……相談して欲しいよ」

「でしょ。悩みなんて一人で抱え込む必要ない。困ったり、悩んだらいつでも僕に言って欲しい」

「う……ハイ……」

浮かない顔を見せながらも、うさぎは渋々、といった様子で頷いた。


「はいはい。今回はそんなところでおしまいにしなさい。ケーキがありますから、お茶にしましょう。夜天も、大丈夫そうでしたら」

大気がここまで、というように軽く手を叩いて言い、皆をリビングへと促した。


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夜天くん、まだ少々おこのようです。笑 でもまぁこれで、ひとまず落ち着いたかしら^^



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