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Another Fine Man Behind Bars : またひとり、いい人間が閉じ込められた。

ジョナサンリッチマンによるウェストメンフィス3のデミアン・エコルズのインタビュー


文:ジョナサン・リッチマン


僕は素晴らしい人物に会った。 彼について話したい。

彼はウェスト・メンフィス3(デミアン・エコルズ、ジェイソン・ボールドウィン、ジェシー・ミスケリー)のひとりで、3人の8歳の少年を殺害した罪で、1993年から服役している。 これは15年前にアーカンソーのウェストメンフィスの郊外でおきた事件だが、一目見て、デミアンは刑務所にいるべきではない人間だと言うことがわかる。

僕たち(自分とドラマーのトミー)は午後3時45分にアーカンソーのガンディというところに着く。 デミアン・エコルズのインタビューは前もって許可をもらっていた。 面会時間は4時までだけれど、特別にインタビューの時間を1時間もらった。

警備員は僕らを連れて、広大な芝生の敷地を横切って死刑囚の獄舎へと案内する。 わりと親しみの持てる警備員だ。 僕と同じくカリフォルニアのメリーヴィルとユバシティに住んだことがあると言うので、それについてちょっと話が盛り上がる。 でもやはりここは刑務所で、いくつもの監視塔がそびえ立っている。 プレキシガラスの中で看守がじっと睨んでいる監視塔だ。

監獄は想像していたより過酷にみえる。 汚いとか混み合っているとかじゃなくて、まさにその逆だ。  建てたばかりで、無菌消毒されていて、超モダンな要塞だ。 紙製の物以外は何も所持できない。 自宅の住所から本を送ってもらうのも禁止。 食べ物もビタミン剤もCDもテープもCDプレイヤーもテープレコーダーもだめだ。 色のついたプレキシガラスの嵌った細い長方形隙間以外は窓といえるものは無い。 『身体をよじれば、5センチほどの太陽の光が見えるよ。』とダミアンは言う。 テープレコーダーは持ち込み禁止。 『ここで酷い目に合わされていることを録音されたくないからだ。』とデミアンは説明する。 

監獄の看守による虐待をどんなに行われていようとも僕らはその三分の一も想像することが出来ない。 それがダミアンとその後に彼の妻と交わした会話で受けた印象だ。 

『心理学のクラスを取ったことがあるかい?』とダミアンは僕たちに聞く。『 ある学校で学生を囚人と看守に分けた実験をしたんだ。 このような実験はたいてい誰かが怪我をする前の初期の段階でやめてしまう。 というのも看守が仕事をあまりにも楽しんでしまうからだ。 このことからも、ここでどんなに虐待が起きているかわかるだろ? 全ての看守と囚人の間には虐待が起きてしまうんだ。』

『看守がいる時は囚人は飼い犬のように機嫌をとって、できるだけ注意を惹かれないようにする。 テレビや映画では死刑囚はみんな、ハンニバル・レクターみたい描かれているけれど、実際は一番恐ろしいのは看守だ。』

彼と話すにつれて、毎日の虐待から来る緊張感は彼が語る以上のものだということを感じられる。 貧しい食事(トミーはデミアンに今日食べたものを聞く:答えは『ポテトチップ一袋、スケトルズのキャンディ、袋入りのチリビーンズ。 缶はもらえないので、袋にお湯を入れて食べる...、』 朝食は何を食べたのか? 『ハニーナッツのシリアル。 でもそれは自費で購入しなければならない。』 彼は看守がタバコやその他のサービスで商売をしていることを説明する。 『ここでお金を持っていなかったら、常に飢餓状態だと思う。』、運動不足、日光不足、おまけに毎日の看守の虐待から来るストレスで、どんどん健康は損なわれていく。  更にそこに寝不足も加わる。 

食べ物の話になったので、デミアンは刑務所で野菜を育てていることを話す。 囚人の食事用に菜園をつくっているのだ。 でもデミアンの今日の食事には野菜は出てこなかったので、僕は言う...『デミアン、ちゃんと野菜を食べなさい!!』屋外には出れないのかとトミーは聞く。 『もちろんさ!』とデミアンは首を振る。 屋外と呼ばれているところはあるけど、穀物を貯蔵するサイロって知っているだろ、あれなんだ。 僕らはそのサイロに入れられるだけだ。 ハトに気をつけないとね...。  

そのあとトミーは聞く、『こんなに何もかも僕たちに話して怖くないかい? 後で仕返しされたりしないのかい?』

『いいや、しないと思う。 その理由は僕が話したことにある。 一度、僕が殴られたとか、食事を与えられなかっただのと看守を悪く言ったとかで、牧師の耳に入るのを恐れて奴らは虐待を少し抑えた。 彼らが抑制する唯一の理由は報道されるのを恐れているからだ。 』 彼は一息ついてゆっくりと言う。 『それぐらいだよな、彼らが恐れているのは。 自分たちがやっていることが暴かれることだ。』 

彼が言うには、看守はデミアンを直接虐めることができないと、ジェイソン(ボールドウィン)の方にあたるらしい。 『ジェイソンに床を磨かせ、それは僕のせいだってジェイソンに言うんだ。』 

それでもデミアンは口を噤んだりしない。 『ここで僕は5冊の本を鉛筆で書いた。』 1993年に十代で刑務所に入り、コンピューターも携帯もDVDも触ったことが無い。

僕は彼の書いた『Almost Home, Vol.1』を読んで、もっと彼の書いたものを読みたくなった。 最後にみんなに伝えたいことはないかと聞いてみる。 すると彼は 『Almost Home Vol. I. 』を読んで欲しいと言う。 バーンズ・アンド・ノーブルでもアマゾンでも購入できる。

彼の無罪を訴える訴訟をまた起こしている。 その件は今審査中である。

そんなわけでトミーと僕はこの静かにしっかりと主張をする、正直な人物に会ったわけだ。 彼はとってもいい感じだった。 賢そうな黒い目をして、こんな状況にいながらもよく微笑む。  人の話も良く聞く。 刑務所から釈放された後は、上に立つ人物になるか、著名な作家になってもおかしくないと思う。 自制心と集中力のある性格だと思う。 だらしないところは少しも見当たらない。

僕が、彼が『刑務所から釈放された後』という表現を使ったのに気づいただろうか。 それははっきりいえることじゃない。 実際にこの国は立派なリーダー各の人物が奇妙な論理のもので死刑囚となっているのだ。  アブ・ジャマール、レオナルド・ペルティア、ルチェル・マギーなどがその一例だ。 でもトミーと僕は、彼はどうにかここから出れるような気がしてならなかった。 この事件についてもっと知りたいのなら、『パラダイス・ロスト』と『パラダイス・ロスト2』というドキュメンタリー映画をみるといい。 この映画について僕は説明はしない。 自分の目で見ることを薦める。


 

ジョナサンリッチマン: ミュージシャン、活動家

ウェストメンフィス3についての詳しい情報は www.wm3.org にあります.


この記事は2005年のメッシュ・マガジンに載っていたものです。 原文はここにあります。



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